【家系図作成のプロが解説】家系図に必要な家族の情報を集め方4Step

家系図

はじめに

「相続で家系図が必要になった」
「遺産分割協議をする際に相続人が知りたい」
「自分のルーツを知りたい」
「自分の身内に有名人がいないか調べてみたい」

などなど,家系図が必要となるケースはさまざまですが,いざ家系図が必要となった際に困るのが…

どうやって家系図を作ればいいのかわからない

という悩みです。

 

そこで今回は,家系図作成に必要な情報の集め方について,どのような方法があるのか取りまとめたいと思います。

※相続や遺言書作成などで必要な家系図は正確性が特に必要となります。 前妻・前夫の子供でその存在を知らなかった子(隠し子)がいないものと決めつけて,後から発覚するなど,トラブルになるケースがありますので,正確性が重要なケースでは専門家に相談するようにしてくださいね。

 

家系図に必要な基本情報

そもそも,家系図を作成するためには,どのような情報が必要なのか,これを理解することが大切です。

家系図作成の際に収集する情報は,主に以下のものたちです。

名前

まずは各家族・親族メンバーのフルネームが最も重要な情報です。 これがなければ何も始まりません。 結婚後に名字が変わる場合もあるため,特に女性(もちろん婿入りした男性も)の旧姓も把握することが大切です。

 

生年月日

正確な生年月日は,家族間の世代を特定するのに役立ちます。 「生年月日も?」と思うかもしれませんが,生年月日が分かれば同級生や当時住んでいた地域から小中学校が特定できることから,いろんな情報にタッチできる可能性が高まります。

 

出生地

生まれた場所の情報も重要です。これにより,家族がどの地域に根付いていたのかを知ることができます。

 

出身地

出身地に加え,どのような地域で生まれ育ったのかの情報も可能ならば集めましょう。

 

結婚日と結婚場所

ご自身のルーツを探ろうとした場合,ご先祖様は必ず父方・母方の2つ存在します。 そうなると,ご自身のご先祖様方のそれぞれの家系が合体した日=結婚日は非常に重要な情報となります。

 

死亡日と死亡場所

家族の一員が亡くなった日や場所も家系図に含めるべき重要な情報です。 

 

職業

職業歴は,家族の社会的な背景や,どのような生活を送っていたかを理解するのに役立ちます。 仲の良かった同僚・上司にアプローチすることで情報を得られる可能性があります。 また,江戸時代などまで遡って調査する場合,分限帳という記録簿に氏名が記録されている可能性があります。 このように,職業の情報は非常に貴重な情報源となります。

 

 

調査方法Step①:家族へのインタビュー

どのような情報を集めればよいかわかったところで,いよいよ調べ方を見ていきましょう。

家系図を作るための第一歩としては,家族や親戚に直接話を聞くことです。 年長者であれば,より多くの情報を知っている可能性が高いので,祖父母や曾祖父母に話を聞くことを優先しましょう。インタビュー時のポイントは次の通りです。

 

インタビューの準備

あらかじめインタビューを行う前に,聞きたい質問などをリストアップしておきましょう。代表的な質問例を以下に記載しておきます。

「おじいさんやおばあさんの名前・生年月日・出生地は?」

「家族が住んでいた場所や引越ししたことはあるか?」

「引っ越しをした理由なにか?」

「家族の中で特に記憶に残る出来事やエピソードは?」

「みんなどのような仕事に就いていたか?」

「親族の配偶者のフルネーム・生年月日は?」

「親族の兄弟姉妹でフルネームや生年月日がわかるひとはいますか?」

「親族の各人の学歴(通った学校)はわかりますか?」

「親族がどこに住んでいたかわかりますか?」

「過去に住んでいた住所はわかりますか?」

「特定の宗教や,消防団などの団体に参加していたことはありますか?」

「家族・親族の家族写真のアルバムや記録が残っていますか?」

「家族・親族が表彰されたりなど,誇りに思う記録はありますか?」

「家計に特定の遺伝的疾患や特徴があったりしますか?」

「昔の手紙や,氏名が取り上げられた新聞記事やスクラップ帳が残っていたりしますか?」

「なにか家族・親族の歴史に関する物で思い当たるものは残っていませんか?」

「故人をよく知る友人・知人をご存知ではありませんか?」

「葬儀や法事を行うお寺などは,どこにお願いしていますか?」

「お墓はどこに存在していますか?」

※注意:一部,プライバシーに踏み込む質問が含まれていますので,失礼の内容にインタビューしてください。 また,答えたくない質問には答えなくてよいことをあらかじめ伝え,配慮をしたうえで質問を行ってください。

 

また,録音機能を使って会話を記録しておきましょう。 メモを取っていても,聞き漏らしたり,万が一メモを紛失してしまっても,後から見直すことができます。

 

インタビューの進め方

話を聞くときは,リラックスした雰囲気で進めることが大切です。 あまり急かしたり,問い詰めるように話を進めてしまうと,インタビュー対象者が答えにくくなることもあります。 自然な会話の中で家族の歴史について触れ,時間をかけて情報を引き出すことがポイントです。

 

 

調査方法Step②:古い書類や家族のアルバムを活用する

インタビューで得た情報に加え,家にある古い書類やアルバムを活用して,さらなる情報を集めましょう。 Step①の言質に,Step②の物証を加えていき,情報を整理し,情報制度を高めていきます。 特に役立つものとしては,以下のものがあります。

  • 出生証明書:家族の出生に関する正確な情報を提供します。
  • 結婚証明書:結婚日や結婚場所を確認できます。
  • 死亡証明書:家族が亡くなった時期や場所の記録が残っています。
  • 卒業証書や学歴に関する書類:学歴や職業に関する情報を得ることができます。
  • パスポートやビザ:移住や旅行に関する情報を知る手掛かりとなります。

これらの書類やアルバムから,年代順に整理された情報を確認することで,家系図作成の基礎となる情報を集めることができます。 これらの写真を撮影する場合は,必ず許可を取るようにしてください。

 

 

調査方法Step③:オンラインでのリサーチ

Step①②で多少なりとも情報が集まり,簡単な家系図メモくらいならば作成可能な状態になりはじめているのではないでしょうか? しかし,令和6年現在に存命の方のご先祖様を多少なりとも遡ると7~8人兄弟姉妹の家系はかなりの頻度で巡り合います。 おそらく一部情報が揃わないご先祖様もいらっしゃると思います。

そこで次のStep③では,オンラインでの家系調査を行います

調査対象者の卒業学校を調べたり,出身地近くの図書館データベースにアクセスしたり,勤務先が残っていれば調査やアプローチが可能です。

オンラインには,古い新聞,移民のデータベースなども多数公開されています。 また,過去の官報も有効です。 ご先祖様が一部国家資格を取得している場合,官報に名前が載っていることがあります

また,ご先祖様がお勤めになっており,今現在も残っている企業であれば社歴史なるものを発行・保管しているケースがあります。 必ずしも見せてくれるとは限りませんが,事情を説明することで特別に閲覧させて頂けるケースもあります。

 

公的なもので確実性が特に高く,入手確率が高いものに登記簿があります。 ご先祖様が地主などで不動産を所有していたり,起業して会社を興されていた場合などのケースでは登記簿を入手することで様々な情報を手に入れることができます。

登記簿は500~600円で誰でも発行してもらうことができます。

 

 

調査方法Step④:墓地やお寺,故人ゆかりの地を訪れる

家族の情報を集める際,古い墓地やお寺を訪れるのも非常に効果的です。 墓碑には,名前や生年月日,死亡日などが記載されていることが多く,先祖の情報を得る貴重な手掛かりとなります。 また,お寺や教会に残された記録も,家族の系譜を追うために利用できる場合があります。

お墓参りの際には,スマートフォンで墓碑を撮影させてもらい,情報を記録しておくことをおすすめします。 また,地元の宗教施設や役所に問い合わせて,家族の葬儀記録や法要記録が残っていないか確認することも有効です。

 

また,故人が昔住んでいた地域まで足を伸ばすことも非常に有効です。 ゆかりの地に,故人と縁のある方がおり,お会いできる場合はアポイントを取って訪問することもよい方法です。

 

(調査方法Step⑤):DNA検査を利用する

近年では,DNA検査を活用して家系図をさらに深める方法も可能になってきました。 しかし,個人で家系図を作ろうとするさいにDNA検査を利用するケースは限られていると思いますので,本記事では詳細は割愛します。

 

 

家系図作成の際の注意点

個人で家系図を作成する場合,多くの場合,以上のStep①~④(又は①~⑤)の流れで作っていくことが有効です。

最後に,家系図を作る際の注意点に触れておきます。

プライバシーに配慮する

家族の個人情報を扱う際には,その情報がどこまで公開するかについて慎重に判断しましょう。 いくら親族・同家系であっても,他人には変わりませんのでプライバシーを侵害しないよう最大限の配慮が必要です。 特にインタビューをする際に,相手に質問することはほぼすべてプライバシーに関わる事柄であることを忘れないようにしましょう

 

誤った情報に注意

家系図作成の出発点となるStep①は,主に“記憶”を頼りにしている情報となります。 この記憶だけを頼りにすることは,時に誤った情報をもたらすことがあります。 Step①で得られた情報を鵜吞みにすることなく,Step②~③で可能な限り公式な記録や書類を確認し,情報の正確さを確保するようにしてください

 

感情に配慮する

家族の歴史には,時にデリケートな問題が含まれていることもあります。 親族もひとりの人間であり,親族間同士で人間関係のトラブルに発展しているケースも当然存在します。 そのような事柄をあれこれ聞くことは気分を著しく害する可能性があります。 

このような事態には,慎重に対応したり,踏み込まないようにし,その情報以外から家系図の完成を目指すようにしましょう。

 

 

まとめ

家系図を作成するには,多くの情報を集める必要がありますが,家族の歴史を知ることで得られる喜びは非常に大きいものです。 インタビューや書類の調査,オンラインリソースの活用,さまざまな手段を組み合わせて,正確かつ詳細な家系図を作り上げましょう。 家族の物語を次世代に伝えるためにも,ぜひ挑戦してみてください。

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